安全研修
~農薬散布作業~

本研修は、農薬散布作業に従事する作業者が、農薬による健康被害、周辺環境への影響、誤使用や飛散による事故を防止し、安全かつ適正に作業を行うための基本事項を確認することを目的とします。
1. 研修対象と到達目標
- 対象者:農薬散布作業を行う作業者、作業責任者、補助作業者
- 到達目標:農薬ラベルの確認方法、保護具の正しい着用、飛散防止、作業後の洗浄・記録、緊急時対応を理解する
- 研修後の行動:作業前チェックリストを用いて、毎回の散布作業前に安全確認を実施する
2. 農薬散布作業の基本ルール
- 農薬を使用する前に、必ずラベルを読み、対象作物、使用量、希釈倍数、使用時期、使用回数、使用方法を確認する。
- ラベルに記載された内容以外の方法では使用しない。
- 体調不良、疲労、睡眠不足、飲酒後など、安全な作業が難しい状態では散布作業を行わない。
- 作業場所には関係者以外を近づけず、必要に応じて立入禁止表示や事前周知を行う。
- 農薬や希釈液をペットボトルなど飲食品の容器へ移し替えない。
3. 作業前の安全確認
- 農薬ラベルと安全データシート等を確認し、必要な保護具を準備する。
- 防除機、ノズル、ホース、タンク、接続部に破損・漏れ・詰まりがないか点検する。
- 風向、風速、気温、降雨の可能性を確認し、強風時や高温時間帯の散布を避ける。
- 周辺の住宅、学校、道路、水路、養蜂場所、他作物の位置を確認し、飛散防止策を決める。
- 散布量は必要な分だけ調製し、余りが出ないように計画する。
4. 服装・保護具の着用
農薬散布時は、農薬を吸い込む、皮膚に付着する、目に入るといったばく露を防ぐため、ラベルで指定された保護具を正しく着用します。一般的には、保護マスク、保護メガネまたはゴーグル、帽子、保護衣、不浸透性手袋、長靴を使用します。保護具は清潔に保ち、破損や劣化があるものは使用しません。
5. 作業中の注意点
- 散布中は飲食、喫煙、携帯電話の使用など、注意力が低下する行動を避ける。
- 風下に立たず、農薬を浴びない位置で作業する。
- 周囲に人や車両が近づいた場合は、散布を一時停止する。
- ノズル詰まりや機械不調が発生した場合は、動力を停止し、農薬が飛散しない状態にしてから対応する。
- 長時間の連続作業を避け、こまめに休憩と水分補給を行い、熱中症を予防する。
6. 作業後の処理と記録
- 作業後は、石けんで手、顔、露出部をよく洗い、うがい・洗眼を行う。
- 作業衣は速やかに着替え、通常の衣類と分けて洗濯する。
- 防除機具、容器、保護具は決められた場所で洗浄し、洗浄水が河川、用水路、井戸などへ流入しないようにする。
- 使用年月日、場所、作物名、農薬名、使用量、希釈倍数、使用者、天候、気付いた点を記録する。
- 使い残した農薬は密栓し、農薬専用保管庫で施錠管理する。
7. 緊急時の対応
- めまい、吐き気、頭痛、息苦しさ、皮膚や目の異常などを感じた場合は、直ちに作業を中止し、責任者へ連絡する。
- 農薬が皮膚に付着した場合は、汚染された衣類を脱ぎ、流水と石けんで十分に洗う。
- 目に入った場合は、こすらずに流水で十分に洗眼し、速やかに医療機関を受診する。
- 医療機関を受診する際は、使用した農薬のラベル、容器、使用記録を持参する。
- 漏えいや飛散事故が発生した場合は、周囲への立入を制限し、関係機関や管理者の指示に従って対応する。
8. 作業前チェックリスト
| 確認項目 | 確認 |
| 農薬ラベルを確認した | □ |
| 対象作物、希釈倍数、使用量、使用回数を確認した | □ |
| 保護具を正しく着用した | □ |
| 防除機具の漏れ、詰まり、破損を点検した | □ |
| 風向・風速・気温を確認した | □ |
| 周辺住民、通行人、他作物、水路等への影響を確認した | □ |
| 散布量を必要最小限に調製した | □ |
| 緊急連絡先と使用農薬情報を確認した | □ |
9. 研修のまとめ
農薬散布作業では、「ラベルを確認する」「保護具を着用する」「飛散を防止する」「体調不良時は作業しない」「作業後に洗浄・記録・保管を徹底する」ことが基本です。作業者一人ひとりが安全確認を習慣化し、健康被害と周辺への影響を未然に防止しましょう。
10. 参考資料
- 農林水産省「農薬の適正な使用」:農薬危害防止運動、ラベル確認、事故被害防止、飛散防止など、農薬を安全かつ適正に使用するための基本情報。
- 農林水産省「農薬の適正使用の徹底」:農薬使用者向けの通知、チェックシート、農薬ラベル確認、使用履歴の記帳、飛散防止に関する資料。
- 厚生労働省「農作業安全を学びましょう」:農作業における安全衛生教育、農薬散布時の保護具着用、必要量の計量、飲食品容器への移し替え防止に関する注意事項。
- 全国農薬協同組合「農薬安全使用のための13ヶ条」:ラベル遵守、体調不良時の作業禁止、保護具着用、機具点検、作業後の洗浄、使用記録、保管管理などの実践項目。
- 農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令:適用作物、使用量・希釈倍数、使用時期、総使用回数、帳簿記載など、農薬使用者が守るべき基準。




