農作業安全教育の進め方

知ってますか?農業における労働者の「雇入れ時教育」の義務が拡大されたこと

令和6年4月から農業を含む多数の業種で、「労働安全衛生法」に基づく「雇入れ時教育」の義務が拡大されました。

※1日でも人を雇えば事業者(雇用主)は、教育を行う義務があります。

雇入れ時教育の項目

  1. 業務に関して発生するおそれのある疾病の原因・予防
  2. 整理、整頓及び清掃の保持
  3. 事故時等における応急処置・退避
  4. その他当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

過去3年間の推移から現状把握

農作業中の死亡事故件数154件

農林水産省HPで、令和7年12月に報告された農作業死傷事故件数が公開されました。残念なことに令和7年に、農作業中の死亡事故件数が154件です。

令和6年、令和7年と件数が増加しているのが現状です。

令和6年2月に、農作業事故死亡者数を令和6年度から令和8年度の3年間で令和4年の件数から半減(238人→119人)することを目標として設定し、集中的に農作業安全対策の強化を図ることとしたところ。
※「農作業安全をめぐる情勢」より

農作業中の死傷事故件数393件

令和6年に354件、令和7年に393件と件数が増加しているのが現状です。

過去3年間の月別農作業中の死傷事故件数の推移

農業機械が稼働し、終わるまでは件数が多いことが分かります。

農作業者を対象とした講習の内容

農場で栽培する農産物により、講習する内容が異なります。
(農作業で使用する農業機械、肥料、農薬が異なるためです。)

栽培する農産物の生産工程管理を把握します
「農業生産工程管理(=GAP)」に取り組む際必要になります。」

作業工程(栽培準備から後片付けまで)

  • 時期(いつ)
  • 農業機械(使う道具)
  • 作業内容(何を、どのようにして)
  • 危険予測(どのような危険があるか)

常に「ヒヤリハット報告書」を利用している場合は、分析することで活用することができるかもしれません。
(ヒヤリハット報告書に、農業機械・作業内容等が記載されていれば。)

実際に圃場で作業される方から、ヒアリングすることをお勧めします。

例えば:穀物【米】稲作の場合

畔塗作業

農業機械:トラクター

オプション:畔塗機

トラクターに畔塗機を装着し、圃場の周囲を畔塗する。
(同時に、雑草対策を講じる場合は、使用する農薬についても)

この場合、トラクター・畔塗機および使用する資材についての、安全対策のための講習を実施する必要があります。

一例です

作業工程作業時期農業機械農業機械(オプション)農業資材作業内容
開始予定終了予定
畔塗トラクター畔塗機
元肥散布トラクター粒剤散布機械肥料
田起しトラクターロータリー
代掻きトラクターウィングハロー
田植田植機
除草剤散布農業用ドローン散布装置農薬
草刈仮払機
防除剤散布農業用ドローン散布装置農薬
穂肥散布農業用ドローン散布装置肥料
収穫作業コンバイン
収穫後作業トラクター

農作業で使用する全ての農業機械・農業資材について、安全対策のための講習を実施する。

  • トラクター
  • トラクターに装着する機械
  • 田植機
  • 仮払機
  • 農業用ドローン(動力噴霧機・動力散布機を含む)
  • 農業用ドローンに装着する装置
  • コンバイン
  • 農薬
  • 肥料等

農作業者を対象とした講習の形態

従来型研修

座学中心の研修になり、講師が一方的に話を進め、質疑応答が行われる。

対話型研修

参加者同士の発言ができ、具体的な気づきに繋がる。

参加者同士の「意見交換」・「アイデアの共有」ができます。

メリット:受講者も発言ができ、具体的な気づきにつながります。

デメリット:1回あたりのテーマと人数が限定されます。

自分たちで考えた「具体的な対策」の実行につなげていただく機会になります。