スマート農業とJGAPは関係
- JGAPは、食品安全、環境保全、労働安全などを適切に管理するための農業生産工程管理(GAP)の認証制度です。
日本GAP協会 - スマート農業は、ICT、IoT、AI、ドローン、センサーなどを活用して農業の効率化や高度化を図る取り組みです。
スマート農業【農林水産】, 特集3 スマート農業技術の活用と今後の展望【農林水産省】
両者が関係する主な理由は次の3つです。
- 記録管理がしやすくなる
- JGAPでは農薬散布、肥料使用、作業履歴などの記録が重要です。
- スマート農業の営農管理システムを使うと、これらのデータを自動的・効率的に記録できます。
- JGAP審査への対応が容易になる
- JGAP認証では、農場管理の証拠となる記録やマニュアルの提示が求められます。
- スマート農業のシステムに蓄積されたデータは、審査時の説明資料として活用できます。
- 農場管理の見える化につながる
- 圃場ごとのリスク管理や作業状況を地図やデータで管理できるため、JGAPが求める継続的な管理・改善を進めやすくなります。
つまり、
JGAPが「何を管理すべきか」というルールや仕組みを示し、スマート農業がそれを効率的に実践するためのツールを提供する
スマート農業でJGAP審査は簡単になりますか?
楽になるポイント
1. 作業記録を自動化できる
JGAPでは、農薬散布、施肥、収穫、機械点検などの記録が重要です。営農管理アプリやICTシステムを使うと、これらの記録を電子的に蓄積できるため、手書き帳票の負担が減ります。
2. 審査時の資料提出がしやすい
JGAP審査では、多くの記録や証拠書類の提示が求められます。スマート農業システムにデータが整理されていれば、必要な情報を素早く提示できます。
3. リスク管理の見える化ができる
JGAPでは圃場や施設ごとのリスク評価・管理が求められます。GISや農場管理システムを利用すると、圃場情報やリスク情報を地図上で一元管理しやすくなります。
楽にならない部分
一方で、JGAPは単なる記録管理ではありません。
- 食品安全の仕組みづくり
- 労働安全対策
- 環境保全への取り組み
- マニュアル整備
- 従業員教育
なども審査対象です。スマート農業はこれらの管理を支援するツールですが、組織運営やルール整備そのものは必要です。
まとめ
JGAP取得の苦労を100とすると、スマート農業は特に「記録作成・保管・検索」の負担を大きく減らします。 そのため、
「JGAPの要求事項を満たす仕組み」=JGAP
「その仕組みを効率よく回す道具」=スマート農業
と考えると分かりやすいです。
主に以下の資料・記事を参考にしました。
1. 農林水産省「スマート農業」
スマート農業の定義や、営農管理システム・データ活用の推進について説明されています。
出典:農林水産省「スマート農業」 [maff.go.jp], [maff.go.jp]
2. SMART AGRI
「GAP認証取得拡大にも『スマート農業』は貢献する」という記事で、
- スマート農業導入時には生産方法や業務フローの整理が必要
- これはGAP取得に必要な要件と重なる
- 生産履歴データがアプリ等に蓄積されることで審査対応が容易になる
と説明されています。 [smartagri-jp.com]
3. 日本生産者GAP協会
2025年度GAPシンポジウムの報告で、
- 「スマート農業×営農指導」
- 「データが拓く新しい農業とGAP」
- 「スマート農業の推進とGAP認証への応用」
など、スマート農業とGAPの連携をテーマとして扱っています。 [fagap.or.jp]
4. JA全農(アグリウェブ)
営農管理システム「Z-GIS」を活用したJGAP対応事例が掲載されています。
- リスク評価の見える化
- 圃場・施設情報の一元管理
- 審査時の書類提示の効率化
などが紹介されています。 [agriweb.jp]
5. 日本GAP協会
JGAPそのものの概要・認証制度についての公式情報です。 [jgap.jp]
日本GAP協会推奨 農場システム
日本GAP協会は「どれが一番効果的か」の順位付けはしていません。掲載されているシステムはいずれもJGAP/ASIAGAPへの適合性が確認された推奨システムです。
日本GAP協会推奨 農場システム一覧
JGAP認証取得という観点で私見を交えて評価すると次のようになります。
| システム | JGAP取得との相性 |
|---|---|
| アグリノート | ★★★★★ |
| KSAS(クボタ) | ★★★★☆ |
| スマートアシスト(ヤンマー) | ★★★★☆ |
| あい作(NTTデータ) | ★★★★☆ |
| 農薬調製支援アプリ(日本農薬) | ★★☆☆☆ |
① アグリノートが最もJGAP向き
アグリノートは、
- 圃場管理
- 農作業記録
- 情報の記録・集計・出力
- クラウドでの情報共有
ができると記載されています。
JGAP審査では、
- いつ
- どこで
- 誰が
- 何を行ったか
を記録として示す場面が多いため、記録管理機能が充実したアグリノートは相性が良いと考えられます。これは私の評価です。
② KSAS・スマートアシスト
クボタのKSASとヤンマーのスマートアシストも推奨システムとして掲載されています。KSASについては「JGAP管理項目別帳票」が紹介されています。
特に機械作業が多い水稲・大規模畑作では有力ですが、JGAP機能の詳細比較までは分かりません。
③ あい作
「あい作」はJAや農業法人など産地全体での運用を重視した仕組みとして紹介されています。
団体認証やJA単位でJGAPを進める場合はメリットが大きそうですが、個人農家向けかどうかはこのページだけでは判断できません。
結論
- JGAP認証取得を目的に初めて導入するなら「アグリノート」
- 水稲や大規模経営でクボタ機械を使っているなら「KSAS」
- ヤンマー中心なら「スマートアシスト」
が有力だと思います。
